「銀ちゃん」

「あ、何だ?」

「…気を付けてね」

「おう」


こんな日に限って空はとても晴れ渡っていて、憎みたくなるくらいにいい天気だ。
今日がもし雨だったら銀ちゃんは行かないのかな、なんて考えが浮かんだがすぐに頭の中から追い出し、目の前にいる銀時を は見上げた。


「もう行っちゃうんだ」

「ああ」

「もう、会おうと思っても逢えないんだ」

「…」

「もう、銀ちゃんは、」




生きて帰って来れないかも知れないんだ。




紡ぎ出しそうになった言葉を無理矢理飲み込み、 は俯いた。
きっと銀ちゃんも分かっているんだろう。
それでも、自分の『信念』を貫くのだろう。
そんな銀ちゃんの側にいたい。
でも、自分は待っていることしか出来ない、そんな自分自身に は腹がたった。

突然、 の頭上に何か暖かいものがふれた。
もよく知っている、銀時の大きな手だ。
そして が顔をゆっくりと上げると、離れていった。
と目が合うと銀時はふわりと微笑み、そのまま踵を返して歩いていった。

はただ、その大きな背中を見つめていた。







さよならの時間まで


あと……








今でも忘れられない、あの時の銀ちゃんの悲しそうな笑みは。











(何かしら、いろいろと訳が分からないところには目をつぶってやって下さい…)




2006.12.26  (企画:全てによる祝福を里花さまへ。素敵な企画に参加させてくださり、有り難う御座いました!)